アミノ酸とは?

アミノ酸とは

アミノ酸の基本構造

アミノ酸記号

アミノ酸は、分子内にアミノ基(-NH2)と酸性基の両方を有する有機化合物の総称です。日常よく見聞きするアミノ酸の多くはそのなかでも、酸性基がカルボキシル基(-COOH)である「アミノカルボン酸」のことを指しています。分子式RCH(NH2)COOHで表記され、Rは側鎖と呼ばれます。側鎖Rはアミノ酸の種類ごとに異なっており、側鎖の違いがアミノ酸の性質の違いを生んでいます。本コラムでも、特記のない場合は、このアミノカルボン酸を「アミノ酸」と呼ぶことにいたします。

アミノ酸のアミノ基とカルボキシル基はお互いに脱水縮合によるペプチド結合(-CONH-)で結合することにより、アミノ酸は数珠つなぎになります。2個~数十個(50個が目安とされている)のアミノ酸からできた分子はペプチド、さらに多くが結合するとタンパク質と呼ばれます。どのような並び順でアミノ酸がつながっているかによって、タンパク質はそれぞれ独自の三次元の立体構造を形成するようになっており、さらにそれぞれ独自の立体構造から、どのような特徴や生理的機能を持つかが決定されます。

ちなみに、ヒトの身体は水分が60~70%、タンパク質は15~20%を占めています。水分を除く固形分だけで考えますとその約半分をタンパク質が占めており、筋肉、骨、皮膚、爪、毛髪などの主成分になっていたり、酵素やホルモン、抗体として身体機能の調整を行ったりしています。

天然には約500種のアミノ酸の存在が確認されていますが、生体のタンパク質を構成しているアミノ酸はそのうち20種のみです。この20種類のアミノ酸には呼び名とは別にそれぞれ一文字、または三文字のアルファベットで表記される略号が付与されています。下表はそれら20種のアミノ酸の名前、略号と側鎖Rの構造式です。このコラムでは表記にアルファベット三文字の略号を用いることがあります。

アミノ酸 略号 側鎖(R) アミノ酸 略号 側鎖(R)
グリシン Gly G グリシン アラニン ALa A アラニン
バリン Val V バリン ロイシン Leu L ロイシン
イソロイシン Ile I イソロイシン フェニルアラニン Phe F フェニルアラニン
チロシン Tyr Y チロシン トリプトファン Trp W トリプトファン
セリン Ser S

スレオニン(トレオニン)

Thr T
システィン Cys C システィン メチオニン Met M メチオニン
アスパラギン Asn N アスパラギン アスパラギン酸 Asp D アスパラギン酸
グルタミン Gln Q グルタミン グルタミン酸 Glu E グルタミン酸
リシン(リジン) Lys K リシン アルギニン Arg R アルギニン
ヒスチジン His H ヒスチジン プロリン(※) Pro P

※プロリンはイミン酸(分子中にイミノ基(>C=NH)とカルボキシル基(-C(=O)-OH)を有する有機化合物)に分類されるが、遺伝暗号表に含まれるため、便宜上アミノ酸に含めることが多い。プロリンのみ、側鎖ではなく分子構造式を示す。

タンパク質には含まれず遊離の形で生体内に存在するアミノ酸も数多くあります。神経伝達物質のγ-アミノ酪酸(GABA)には血圧降下や睡眠調節効果、尿路回路の中間体であるオルニチンには疲労回復や肝機能改善といった様々な生体作用が報告されています 。

アミノ酸はその性質や側鎖の特徴による様々な分類法があります。
次回は、アミノ酸の分類とその特徴についてお伝えいたします。

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アミノ酸の分類と特徴